生年月日から性格や相性を読み解く「宿曜占星術(しゅくようせんせいじゅつ)」。芸能人やビジネスパーソンにも愛好者が多いと言われるこの占いは、実は1200年以上も前にインドで生まれ、中国を経て、あの空海(弘法大師)が日本へ伝えたとされる、壮大な歴史を持つ占星術です。この記事では、宿曜占星術がどこから来て、どのように日本へ根づいたのかを、歴史読み物としてたどっていきます。
宿曜占星術とは?月の動きから運命を読む占い
宿曜占星術とは、月の運行を重視し、人が生まれた日に月がどの星座(宿)にあったかをもとに、性格や相性、運勢を読み解く占いだと言われています。
西洋占星術が太陽星座(いわゆる12星座)を中心に見るのに対し、宿曜占星術は月の通り道に注目するのが特徴です。月が地球を一周するのにおよそ27.3日かかることから、その軌道を27に分けた「二十七宿(にじゅうしちしゅく)」を使うのが基本とされています。生まれた日の月の位置によって「本命宿(ほんめいしゅく)」と呼ばれる自分の宿が決まり、それが運勢を読む土台になります。
「宿(しゅく)」とは、月が宿る星座のような区切りのこと。インド占星術では「ナクシャトラ(星宿)」と呼ばれるもので、宿曜占星術はこのインドの月の星座を起源にしていると言われています。
出典:宿曜占星術とは?どんな占い?歴史・特徴などを詳しく解説!(SARAスクール)、宿曜の二十八宿・二十七宿の違いを解説!(日本メディカル心理セラピー協会)
インドから中国へ──宿曜経が生まれるまで
宿曜占星術のルーツは、約3000年前の古代インドにさかのぼると言われています。月や太陽、惑星の動きを観察してまとめられた占星術の知識が、やがて仏教の経典のなかに取り込まれていきました。
この知識を一冊にまとめたのが、正式名称を「文殊師利菩薩及諸仙所説吉凶時日善悪宿曜経(もんじゅしりぼさつおよびしょせんしょせつきっきょうじじつぜんあくすくようきょう)」という、長い名前のお経です。一般には「宿曜経(すくようきょう)」と略して呼ばれています。
このお経を中国で漢訳し、占術として体系づけたとされるのが、唐の時代に活躍した僧・不空三蔵(ふくうさんぞう)です。インド出身とも伝わる不空は、密教を中国に広めた重要な人物で、764年ごろに宿曜経をまとめ上げたとされています。こうしてインドの月の占星術は、中国の七曜(日・月と五つの惑星)や陰陽思想と融合しながら、「宿曜」という形に整えられていきました。
出典:宿曜占星術の歴史(syukuyo.com)、宿曜道(Wikipedia)
空海が持ち帰った宿曜経と、平安京での活躍
宿曜経を日本へもたらしたのは、真言密教の開祖である空海(弘法大師)だと言われています。空海は遣唐使として唐に渡り、密教の教えとともに多くの経典や仏具を持ち帰りました。そのなかに宿曜経も含まれていたとされ、9世紀のはじめ頃に日本へ伝わったと伝えられています。
空海が持ち帰った宿曜経をもとに、密教の僧たちが独自に研究を重ねた結果、占術として発展していったのが宿曜占星術のはじまりとされています。平安時代になると、宿曜を専門に扱う「宿曜師(すくようし)」と呼ばれる人々が現れ、彼らの占う「宿曜道(すくようどう)」は、あの安倍晴明で知られる陰陽道(おんみょうどう)と肩を並べるほどの人気を集めたと言われています。貴族たちは吉日や方角を占ってもらい、国家の安泰を願う場面でも宿曜道が用いられたと伝えられています。
宿曜の歴史をたどっていくと、私たちの暮らしに今も残る「占いに頼る心」が、千年以上前から変わっていないことに気づかされます。歴史ある占術を、現代の専門家に直接読み解いてもらいたいと感じたら、自宅にいながら相談できる電話占いを入り口にしてみるのも一つの方法です。
出典:2020年5月最新【宿曜占星術の歴史】空海が学び得た「真言密教」と宿曜のヒストリー(占いの森)、空海の持ち帰った《宿曜経》(note)
27宿と28宿──二つの数えかた
宿曜占星術を学ぶと、「二十七宿」と「二十八宿」という二つの言い方が出てきて、戸惑う人も多いようです。
二十七宿は、インドのナクシャトラを起源とし、月の通り道(白道)を27等分したものとされています。一方の二十八宿は、中国で発展した数えかたで、太陽の通り道(黄道)に沿って28に分け、暦づくりや農業など実用面で使われたと言われています。二十八宿には、二十七宿に「牛宿(ぎゅうしゅく)」を加えた区切りがあり、日本で現在おこなわれている宿曜占星術では、この牛宿を除いた二十七宿を使うのが一般的だとされています。どちらが正しいというより、由来や用途が異なる二つの体系だと理解しておくとよいでしょう。
出典:宿曜の二十八宿・二十七宿の違いを解説!(日本メディカル心理セラピー協会)、宿曜占星術の基礎や特徴、占い方法を解説!(日本占い師協会)
現代によみがえる宿曜占星術
平安時代に栄えた宿曜道ですが、その後は陰陽道の陰に隠れるようになり、明治維新によって陰陽師が公的に廃止されると、こうした伝統的な占術は表舞台から姿を消していったと言われています。
しかし宿曜占星術は完全に途絶えることなく、研究者や占術家によって受け継がれ、近年あらためて注目を集めています。生年月日さえあれば自分の本命宿がわかる手軽さや、相性を細やかに読み解ける点が、現代の人々にも親しまれている理由のようです。
インドで生まれ、中国で形を整え、空海によって日本へ渡り、千年の時を超えて今も生き続ける宿曜占星術。占いの結果に一喜一憂しすぎず、自分を見つめ直すヒントとして、その長い歴史に思いをはせながら触れてみてはいかがでしょうか。
出典:宿曜道(Wikipedia)、宿曜占星術の歴史(syukuyo.com)